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権利としての教育と福祉

2012.11.21/ 更新 2014.2.10







教育と福祉は権利と義務
 日本国憲法の第25条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障、及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と、国民の生存権とそれに対する国の保障義務を定めています。
 憲法の第26条は「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。」と教育を受ける権利と受けさせる義務を定めています。
 人として生まれたならば、人として育ち、人としてよりよく生きる権利は誰もが有しています。そこに憲法第25条に定める「国民の生存権、国の保障義務」の意味があり、憲法第26条に定める「教育を受ける権利、受けさせる義務」の意味があると思います。

※教育と福祉はちがう領域のように思われているようですが、人が人らしくよりよく生きていくための教育であり、福祉です。それは切り離せない一体のものだと思います。
 人々にとって「福祉」とは目標で、「教育」とはそこに到達する手段であると考えるとよいと思います。


教育と福祉の特質
 「国民の生存権、国の保障義務」を定めた日本国憲法の第25条と、「教育を受ける権利、受けさる義務」を定めた第26条に基づくところの教育も福祉も、限られた人だけが対象ではないはずです。むろん弱者を排斥するものではなく、人々すべてがその対象であるはずです。
 教育を受ける権利を保障し、教育の機会均等を確保し、教育の可能性を追求するには、いろいろな教育の内容・教育の方法・教育の場を考えて整えていかなければなりません。そのためには学校だけが教育の場ではないという認識をもつことが大切だと思います。また「福祉」とは、国民すべての「幸福」を意味します。
 したがって教育・福祉は文化国家の責務であり、文化国家のバロメーターです。
 そうした認識がしっかりとないままに構造改革と称し、「規制緩和」「民間活力の導入」「官から民へ」などというのはまことにもっともらしいが、実際は国家としての無責任な姿勢を露呈し、弱者を置き去りにし、教育や福祉の充実・発展を目指すことにはならないと思います。それは結果的には国家社会の盛衰にかかわることだと思います。



教育を受ける権利の保障について








日本の障害児(者)の教育や福祉をめぐる問題、課題を
考察し、今後を展望

日本の教育制度と障害児(者)の福祉
田研出版 3190円 A5判 316頁
第1章 日本の障害児教育の始まりと福祉
義務教育の制度と障害児/学校教育と福祉施設
/精神
薄弱者福祉法(現:知的障害者福祉法)の制定
/教育を受ける権利の保障

第2章 戦後の復興から社会福祉基礎構造改革へ
社会福祉法人制度と措置委託制度
/社会の変化と社会福祉基礎構造改革
/「措置」から「契約」への制度転換と問題点
/社会福祉法人制度改革の意義と課

第3章 障害者自立支援法から障害者総合支援法へ
障害者自立支援法のねらい
/障害者自立支援法をめぐる問題
/自立支援法から総合支援法へ
/障害者総合支援法施行3年後の見直し

第4章 教育の意義と福祉の意義
人間的成長発達の特質と教育・福祉
/人間的進化と発達の個人差/教育と福祉の関係
/「福祉」の意味と人権

第5章 展望所感
 障害(者)観と用語の問題
/新たな障害(者)観と国際生活機能分類の意義
/障害児教育の義務制の意義と課題
/障害者支援をめぐる問題




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