教育の義務制と保育園・幼稚園








戦後に制定された新たな教育法制度により、学齢に達した児童の全員就学が保障されています。

就学前の保育と幼児教育は、人間的成長発達にかかわる大切な基礎の部分です。

保育園と幼稚園についても義務教育の学校と同等の力点を置くべきだと思います。

なお障害児のための保育園・幼稚園の問題も深刻なはずです。






◆ケア欠かせぬわが子
  預け先ないから作る  
朝日新聞 2017(平成 29)年6月21日
 障害児を育てる親が自ら、障害児を預かる施設を絶ち打あげるケースが相次いでいる。重症心身障害児や、日常的に医療的ケアが必要な「医療的ケア児」向けの施設は全国で大幅に不足。「なければつくればいい」という発想だが、行政にも対応を促す取り組みとなっている。
親同士でNPO 鹿児島
「美談にせず支援を」

(山下剛)


 厚生労働省:障害児支援の在り方に関する検討会 報告書
  今後の障害児支援の在り方について(報告書) 平成26年7月16日
      ~「発達支援」が必要な子どもの支援はどうあるべきか~ 
(PDF)


 障害児教育の義務制の意義と課題



 内閣府:共生社会政策
 国民一人一人が豊かな人間性を育み生きる力を身に付けていくとともに、国民皆で子供や若者を育成・支援し、年齢や障害の有無等にかかわりなく安全に安心して暮らせる「共生社会」を実現することが必要です。
 このため、内閣府政策統括官(共生社会政策担当)においては、社会や国民生活に関わる様々な課題について、目指すべきビジョン、目標、施策の方向性を、政府の基本方針(大綱や計画など)として定め、これを政府一体の取組として強力に推進しています。



◆待機児童 足りぬ保育士 

  平均月給22万円相次ぐ離職  国の加算枠限定に不満も
  朝日新聞 2017(平成29)年10月12日



◆「保育園落ちた」今年も
 待機児童「ゼロ」きしむ現場 
文化くらし報道部 足立朋子  朝日新聞 2018(平成30)年2月26日
 認可保育園に入れない「待機児童」の問題が20年近く解消されない。今月は多くの自治体で4月入園の選考結果が発表されたが、SNSには「保育園落ちた」の書き込みが今年もあふれる。政府は「ゼロ」の目標へ定員拡大を急ぐが、保育環境をおろそかにした政策が現場をきしませている。
ニーズ増 政権の想定超える
 2001年の小泉政権が「待機児童ゼロ作戦」を掲げて以来、歴代政権は待機児童の「ゼロ」を約束。安倍政権も13年の「待機児童解消加速化プラン」で17年度までに「受け皿」を50万人分増やし、ゼロにするとしてきた。
 政府は昨年6月、待機児童ゼロの目標を「20年度まで」と、3年先送りした。ただ、国や自治体がニーズを低く見積もってきた面があり、先行きは不透明だ。

低い賃金 保育士不足
 いま定員を拡大する壁として浮上しているのが、保育士不足だ。保育士の登録者は11年度からの5年間で33万人まで増えた。この間、働いていない「潜在保育士」も18万人増え、16年度は計86万人に上ると推計される。現場から離れる原因は、待遇への不満が大きい。賃金構造基本統計調査によると、16年の保育士の平均賃金は月22万3千円で、全産業平均より11万円安い。
配置基準70年不変
 
 保育士の賃金が低い要因は、国が決める人件費の補助単価が低いことに加え、戦後間もない1948年に定められた保育士の配置基準が影響している。
 配置基準は保育士1人あたり1~2歳児なら6人、4~5歳児なら30人などと定められている。ただ、この基準では手が回らず、村山祐一・元帝京大教授(保育学)の試算では認可園は平均で基準の約2倍のを配置。支給される運営費を分け合うため、1人分の賃金は低くなる。
 現場を知る自治体は独自に保育士を配置する。だが、政府はこれを待機児童解消の「障壁」とみて、配置の削減を求める。待機児童ゼロを目指す過程では、定員を超える受け入れなどがなし崩しに勧められ、70年も前の最低基準を見直す議論は影を潜める。
 子どもを育む環境に何が必要で、何が足りないのか。研究機関が現状に真摯に向き合えば、答えはおのずと出るはずだ。保育士が逃げ出すような現場を放置して、子どもたちにいいはずがない。


◆フリーランス厳しい「保活」、

 認可園選考 在宅で減点も 不利な扱い是正求める声  
朝日新聞 2018(平成30)年2月26日 
 企業に属さず個人で仕事を受ける「フリーランス」は、厳しい子育て環境に置かれています。所得補償がないため出産直後から仕事を再開する必要があり、預け先の確保は不可欠です。それなのに、認可保育園の入園選考では不利な扱いも。働き方として広がっているなか、是正を求める声が上がっています。

(田渕紫織、中井なつみ)





◆保育士の給料 なぜ低い 
 私立認可園への委託費 仕組みに課題
  朝日新聞2018(平成30)年5月9日 

 待機児童問題が解消されない大きな要因として、月給が全産業平均より約10万円低く、保育士が集まらないことが挙げられています。そのおおもととして、国が決める「子ども1人あたりにかかる保育の費用」が実態に合っていないとの指摘があります。

「基準」では足りず増員、賃金減

 「専門性がある仕事なのに給料が見合わない」。関東地方の私立の認可保育園で働く女性(54)は、保育士歴20年以上。昨年やっと月給が手取りで20万円を超えた。厚生労働省の2017年の調査では、保育士の平均賃金は月22万9900円。全産業平均とは10万3900円の開きがあった。
 
 公立園は公務員に準じた給料だが、私立園の給料の原資は、国が決める
「公定価格」がベース。これに、利用する子ども数を掛け合わせた額が、委託費として園に支払われる。財源は公費と保護者が払う保育料だ。

※保育の公定価格とは、子ども1人あたりに必要な費用を定めたもの。
 保育士や事務員らの給料にあたる人件費、折り紙や絵本などの事業費、施設補修などの管理費を積み上げて算出する。保育士の配置基準が手厚い低年齢ほど人件費がかかるため高額になる。公定価格をもとに、私立園への委託費が決まる。
 この5年間で公定価格は約11%(月約3万5千分)上がった。ただ、そうした計算通りにはならない現状がある。実際に働いている保育士数が、国の配置基準より多ければ、1人にわたる額は想定より少なくなる。
 埼玉県のある私立園は、4歳児12に人と5歳児15人の2クラスに保育士を1人ずつ配置している。しかし、4~5歳児の公定価格は、計30人につき保育士1人を前提に計算されている。この園では長時間労働を防ぐため朝や夕方に非常勤職員も雇っており、新卒に出せる月給は額面で17万円が限界だという。理事長は「保育は管理ではない。子どもは自由に動き回り、けがの危険も付きまとう。見守るには、国の配置基準ではとても人手が足りない」と話す。

経営者の報酬や新設費に「流用」のケースも

 委託費の問題もある。園の裁量に任せているのが実態だ。その結果、子どもの構成年齢によっては委託費の7~8割に相当する人件費が、給料以外に「流用」されているケースがある。

質を保てるよう公定価格改善を

 
保育研究所長の村山祐一・元帝京大教授(保育学)の話:保育の質を保つためにも、実際に現場で働いている保育士の人数分の給料が出るよう公定価格の在り方を見直し、各園が必要人数を確保できるようにするべきだ。
 財務省が昨年公定価格の引き下げを訴え、政府の規制改革会議が保育士の配置基準を緩和して待機児童対策を進めるよう求めているのは、現場の実態も保育の質も軽んじた議論だ。


















































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