国連障害者権利委員会の審査、勧告について
≪審査、勧告をどう受け止めるか≫



2022.9.20/2022.10.15/2022.11.5/2022.12.9/2022.12.17/2023.1.10/2023.2.23(題名変更)/2023.8.30


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 障害に基づくあらゆる差別の禁止を定めた「障害者権利条約」は2006年に国連で採択されました。 日本もこの条約に2007(平成19)年に外務大臣が署名し、2013(平成25)年12月に批准が正式に国会で承認され、翌年1月に批准書を国連に寄託し、締約国となり、同年2月より日本においても障害者権利条約が発効しました。

 締約国には、条約に規定された事項が守られているかを監視する機関の設置が義務づけられており、2022(令和4)年8月にスイスのジュネーブで日本に対する初めての国連の障害者権利委員会による対面での審査が行われました。そして翌月の9月9日に審査結果と勧告が公表されました。審査、勧告は、委員が日本政府の代表団に質問し、そのやりとりを踏まえたものです。


 日本の取り組みに対する勧告の内容には、脱施設化やインクルーシブ教育、福祉的就労に関することなどが含まれています。この勧告には拘束力はありませんが、締約国としては尊重すべきであり、真摯に受け止め、今後へ向けた日本流の確かな対応を示さなければならないと思います。
 もし勧告に対して、納得してもらえるような明確な説明や合理的な日本流の対応ができないとすれば、日本には文化国家としての明確な教育理念、福祉理念が確立していないということだと思います。







障害者権利条約の実施状況の検証について

 障害者権利条約の締約国には、条約に規定された事項が守られているかどうかを監視する機関の設置が義務づけられており(第33条)、日本では障害者基本法に基づき設置された内閣府所管の障害者政策委員会が国内監視機関となっています。
 国連には、権利条約を批准した国から選出された18名の独立した専門家で構成された「障害者権利委員会」が設置されています(第34条)。

 

 障害者権利委員会は、締約国から提出される権利条約の履行状況の報告内容を検討し、審査を行い、「総括所見」と呼ばれる審査結果と勧告を作成することになっています。日本の取り組みに対する国連の委員会による審査、勧告は初めてのこととなります。
 この勧告には拘束力はありませんが、日本の障害児者の教育や福祉に関わることこであり、締約国として真摯に受け止めた日本流の確かな対応が求められているということだと思います。もし、勧告に対する明確な説明や合理的な日本流の対応ができないとすれば、日本には文化国家としての教育理念、福祉理念が確立していないということだと思います。




障害者権利委員会による審査・勧告のプロセス

 

①  締約国は、自国で権利条約の効力が生じた2年以内に「政府報告」(権利条約に基づく義務を履行するためにとった措置及びそれによってもたらされた進歩に関する報告)を国際連合事務総長を通して障害者権利委員会に提出する(第35条1項)。

②  障害者権利委員会が審査対象国の政府に「事前質問事項を」送付し、政府から回答を得る。

③  互いの「建設的対話」を経て、今後改善すべき点を勧告としてまとめた「総括所見」が採択される。

政府は、その後4年間に勧告を受けた点の改善に取り組み、4年ごとに権利条約の実施状況を報告する義務がある(第35条2項)。

※2019(令和元)年6月、NGOがパラレルレポートを作成し、権利委員会に提出。同年10月に障害者権利委員会から日本政府への「事前質問事項」が届く。
 2020(令和2)年12月、日本政府が事前質問事項に対し回答。NGOが建設的対話用パラレルレポートを作成。
 2021(令和3)年の夏~秋の審査を経て「総括所見」が公表される予定だったが、コロナ禍で時期が伸びたためにこの度の審査、勧告となった。

注)パラレルレポートとは、委員会が示したガイドラインに沿って、各国の民間団体が委員会に提出する独自の報告のことです。

(参考文献:新・社会福祉士シリーズ14「障害者福祉」弘文堂 2021)




日本の取り組みに対する勧告

 障害者権利委員会から出された勧告(総括所見)は、障害者団体が発信した内容や、新聞等の報道によれば、日本政府に対し、全体を通じて多数の項目で障害者団体との緊密な協議を求めており、障害者権利条約の理念が反映された内容であるという。また日本政府に対し、次回は2028年2月20日までに、今回の勧告がどのように実施されたかについての情報を含む定期報告の提出を求めているそうです。

<勧告の主なポイント>朝日新聞 2022(令和4)年9月14日をもとに作成

強制入院について
 障害者の強制入院によって自由を奪うことを認めるすべての法的規定の廃止

精神病院の在り方について
 隔離・身体拘束、強制投薬など強制治療を正当化する法律への懸念など

脱施設化について

 障害児者の施設入所を廃止し、地域社会での生活支援に向けた迅速な措置をとることなど

インクルーシブ教育について

 分離された特別支援教育をやめさせるため、障害のある生徒が合理的配慮と、必要な個別の支援を受けられるようにすることなど

なお障害者の働く権利の問題とも関連することとして、「福祉的就労の場」への否定的な見解を示す勧告や旧優生保護法の下で不妊手術を強いられた被害者への謝罪や期間を限らない救済のことなども含まれているという。




障害者地域生活支援
 政府、法改正案提出へ  
朝日新聞 2022(令和4)年10月15日
 障害者が地域で暮らしていけるように支援を強化する障害者関連法の改正案が14日、閣議決定された。施設を出て、一人暮らしを希望する人を対象としたグループホームを新設するほか、地域生活の拠点整備などを市町村の努力義務とする。政府は開会中の臨時国会での成立を目指す。
■障害者の地域生活を支援する改正案のポイント
・一人暮らしを希望する人への支援をグループホームで実施
・地域での生活支援をする拠点の整備を市町村の努力義務に
・本人のニーズや適性、強みを評価したうえで就労先を選択できるようにする「就労選択支援」を創設
・精神科病院で虐待を発見した人の都道府県への通報を義務化

(石川友恵)


 改正案の詳細は分かりませんが……
 そもそも、地域社会での自立生活を支援するためのグループホームであったと思いますが、また新たなタイプのグループホームを設けるということは……。

 就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援、さらにまた新たに就労選択支援を創設……。
 そもそも障害者総合支援法は、障害者がもっと働けるようにして地域社会での自立生活を支援するというために、障害者自立支援法という法律名でスタートしたはずですが、法的効果という点の問題課題は依然として……。

 そもそも病院は虐待をするところではないと思います ……。 



障害者総合支援法等の改正について:厚生労働省
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律の概要(令和4年12月10日成立 同月16日公布)




勧告をどう受け止めるか


 勧告には法的な拘束力はありませんが、締約国としては尊重すべきであり、真摯に受け止め、今後へ向けた日本流の確かな対応を示さなければならないと思います。


インクルーシブ教育に関連して、障害のある児童生徒が通常学級から隔離されているとの懸念を示す勧告に対して、永岡桂子文部科学大臣はいち早く9月13日に動画配信された会見で、「現在、多様な学びの場において行われている特別支援教育を中止することは考えていない。勧告の趣旨を踏まえて、引き続きインクルーシブ教育システムの推進に努めたい」と述べ、現行の特別支援教育の取り組みを進める考えを明確に表明。

障害者の働く権利をどう保障するかは、共生社会の形成、実現のためにはきわめて重要なことである。障害者の働く権利の問題と障害者の就労支援を考える前提として重要な点は、何よりもまず「就労とは何か」「雇用とは何か」ということを考えてみることである。そこに具体的な問題があり、いわゆる「合理的配慮」に関する問題があるはずである。

勧告は、日本の障害児者の教育や福祉に関わることであり、日本流の今後に向けた確かな対応をどう示すかがきわめて大切なことだと思う。特に教育については、障害(者)への理解も進んできた今、教育とは何のため、誰のためかを人権や福祉の視点で改めて考えてみるべきであり、現行の教育法制度を見直し、学習指導要領の在り方等も見直し、学校だけが教育の場ではないという考え方も大切である。

 障害児者の施設入所を廃止し、地域社会での生活支援に向けた迅速な措置をとることなどとする「脱施設化」についての勧告や、障害のある児童生徒が通常学級から隔離されているとの懸念を示す勧告と「福祉的就労の場」への否定的見解を示す勧告については、以下のような私見を掲げておきます。


《施設から地域への「地域移行」と称する取り組みについて》

 ノーマライゼーション理念の広がりに伴い、北欧諸国やアメリカでは施設の縮小や解体へと進みますが、日本の場合は、施設中心の施策が進められ、1970年代はその勢いが増すことになりますが、1981(昭和56)年の「国際障害者年」を契機に、ノーマライゼーションの理念は世界規模で障害(者)観に大きな影響を与え、日本でも今、脱施設への方向が示され、地域移行と称する取り組みが促されています。しかし現状は問題や課題も多く、入所施設に代わるグループホームの制度も確かな制度とはいえない不十分なものだと思います。

 ノーマライゼーション理念のそもそもは非人間的な施設政策の改革にあったわけです。それはいわば知的障害者を排斥する社会防衛的な発想による保護・指導・治療・訓練等の取り組みのすべてを施設内だけで完結しようとするものだったために隔離隔絶による人間性軽視に陥ったわけで、その反省であり、それがやがて脱施設化政策へと転ずることになったという理解が大切です。これとは対照的に、日本の場合の施設の取り組みは、歴史的にみれば、社会防衛的な隔離隔絶的なものというよりも、きわめて人道的で、社会の厳しい状況から保護するだけでなく、生活能力を高めるための教育的な取り組みでもあったわけです。そうした取り組みが受け継がれて現在に至っているといってよいと思います。

 特に知的障害の場合、施設がその人の権利擁護や生活や活動の質的充実を図る拠点として機能するものであれば、そうした施設の在り方は現在の日本においてはむしろ必要だと考えます。ただ単に施設を否定するような考え方こそが偏見や差別ではないでしょうか。障害者施設は重要な社会資源の一つとされるべきものだと考えます。
 施設を問題視するとすれば、その施設がなぜ必要か、そこで何がどのように行われるか、地域社会にとってどうなのかということだと思います。

 地域社会のなかの施設であり、施設のための地域社会と考えれば、「施設から地域へ」でもよく、「地域から施設へ」でもよいわけです。そこにはおのずと「共生社会」のための合理的配慮が伴うはずです。


《日本の教育制度と特別支援教育について》

 分離教育であるとして特別支援教育の中止を求める国連の権利委員会の勧告に対して、永岡文部科学大臣は会見で「多様な学びの場において行われている特別支援教育の中止は考えていない」との考えを表明しました。
 特別支援教育を受ける子どもの数は年々増加の傾向にあり、さらに昨年(令和4年12月13日)の文部科学省の調査では、小中学校の通常学級に通う児童生徒の8.8%に「発達障害」の可能性があるということです。
 障害のある子供の就学先の決定について文部科学省は「本人・保護者の意見を可能な限り最大限尊重」するとしていますが、実際的な就学先決定に至るプロセスの現状には問題があると思います。

 
今、改めて人権や福祉の視点で、教育とはだれのため、何のための義務教育かを考えてみるべきであり、現行の教育法制度の抜本的見直しも必要ではないかと思います。
 なぜなら日本の公教育制度は、明治新政府によって国家の発展には、国民一般の教育の振興が重要だとして、小学校の普及充実を目的に始まったものであり、この小学校については男女とも必ず卒業すべきものと定められました。しかし障害児の就学に関する具体的な定めはなく、当時の小学校には進級試験があり、学校教育の普及と就学率の向上につれ、そうした教育法制度の流れには乗れない児童生徒が出てきたために考えられた学級の編成や学校が、いわゆる戦後の障害児の教育も義務制とする新しい教育制度の下で「特別支援学級」や「特別支援学校」となって現在に至っているからです。

 しかも障害児のための養護学校(現在の特別支援学校)の義務制はすぐに始まったわけではなく、戦後の新教育制度の発足から32年目の1979(昭和54)年からです。それは多様な障害の内容等に配慮した教育というよりも、障害のない児童生徒のための教育法制度の下で進展してきたことを意味します。そうしたなかで次第に障害児への理解も進み、そのための取り組みも行われるようになって現在に至るわけですが、その一方で、障害のない児童生徒の教育が本流の教育で、障害児の教育はそれに〝準ずる教育〟(学校教育法第72条)だとされてきたことで、ノーマライゼーションの理念やインクルーシブ教育の理念を日本流の考え方として消化しきれずに混乱を招いているような現状があるからです。

 ノーマライゼーションの理念もインクルーシブ教育も、人の多様性や教育の多様性を否定するものではないはずです。したがって〝準ずる教育〟は〝適切な教育〟に改め、学校教育法の72条は「特別支援学校は、児童生徒の障害の内容及びその程度や状態に配慮した最も適切な教育を施す~」とすれば、障害の多様性に配慮した教育の内容や方法についての発想や工夫がゆたかに広がる教育制度の実現につながるのではないでしょうか。

 要は、誰のための教育か、何のための教育かということをしっかりと考えたものでなければならないと思います。
 教育法制度があるがためにそこに障害のある児童生徒の存在を当てはめるのではなく、あくまでも障害のある児童生徒に配慮した教育法制度でなければならないはずです。その意味では、現在の学習指導要領の考え方や在り方の見直しも必要であり、学校だけが教育の場ではないという柔軟な考え方も大切にすべきだと思います。
 教育を受けさせる側が障害児のためにといいながら、「障害」を一括りにして、障害の多様性を理解しないままの一般論や建て前論を通そうとするようなことがありがちであることには留意すべきだと思います。それは教育のことだけでなく、障害者施策全般に言えることではないでしょうか。


《障害者の就労支援に向けた考え方のポイント》

①就労する側と雇用する側の両者の立場で考える。
②就労は「生活の質」にかかわることであるが、就労の場があり、得られる賃金が多ければ、生活の質が向上するとは限らない。
③多様な職種があり、多様な雇用形態・就労形態があってよい。
④就労・雇用の継続性と安定性の確保を図るには、いわゆる「福祉的就労」「保護的就労」を含めた就労概念の拡大とその明確な社会的位置づけ及びそれに対する人々の理解を得るための啓発活動が重要となる。
⑤障害者総合支援法による就労支援事業の就労継続支援B型を利用希望する場合に必要な現行の、「就労アセスメント」の対象者の約7割は特別支援学校在学者であり、そのうちの約9割が知的障害者であるという現状を考えれば、現状を直視した実効性のある円滑な支援のための再検討を行うべきである。
⑥障害者の就労に関する問題は基本的人権にかかわる問題であり、それは社会保障の問題である。福祉的就労と労働法との関係が問題となっているが、それは社会福祉及び社会保障の問題として考える。


《働く権利と“働く質”と“生活の質”について》

 人には働く権利があります。働く場があるかどうか、生活に必要な収入を得ることができるかどうかは重要な問題です。しかし人が働くという意味には、単に働く場があり、収入が得られればそれでよいというだけではないものがあるはずです。そうした認識が障害者の就労支援では特に大切ではないかと思います。

 人が働くとは、いわゆる生活の質(QOL)にかかわることです。
 「生活の質」とは、人それぞれの生活習慣や価値観、人生観に基づくものであり、本来的には他人がその質のよしあしを評価するものではないと思います。あくまでもその人にとってどうかということが問題であるわけですが、それは働く質の問題とも大きく関係するというところに障害者の就労を支援する大切な意味があると思います。

 例えば、就労を働く質の問題として考えた場合、何よりもまず就労の場の確保が大切です。しかしそこでイヤイヤながら苦痛な思いで働くことを強いられるとしたら、果たしてそれは生活の質という面で充実したものといえるでしょうか。
 また、経済的自立ということを働く質の問題として考えた場合、生活費として必要な収入を得ることが大切です。しかし生活に足る収入を得ることができたとしても、その収入金額に不平不満を抱く日々であったり、計画的な金銭処理がむずかしいために買い物を楽しむことができなかったり、無駄遣いを重ねるような日々を送るとしたら、果たしてそれは生活の質という面で充実したものといえるでしょうか。

 現状の就労支援に関する考え方は、「障害」を一括りにして、知的障害の場合などの障害の多様性を理解しているとは言い難い。また一般的な企業就労にのみ価値を置くような考え方を一新し、もっと生活の質や働く質という面にも着目した支援を考えるべきです。いわゆる「福祉的就労」の意義や価値を尊重するような意識改革も必要だと思います。

 いずれにしても障害者の就労支援の問題は、これまでの経緯をみるかぎり単に障害者の法定雇用率を上げればよい、工賃を倍増すればよい、就労支援事業種を増やせばよいというだけの問題ではないわけです。現在の障害者雇用制度や障害者総合支援法による就労支援の考え方や支援の仕組みは再検討すべきものと考えます。




障害ある子ども「学級の分離は人権侵害」
 文科省通知巡り親子が申し立て  朝日新聞 2022(令和4)年12月14日
 文科省が今年4月、特別支援学級について全国に出した通知をめぐり、大阪府枚方市と東大阪市の親子5組13人が、31日、大阪弁護士会に人権救済を申し立てた。通知は、特別支援学級に在籍する児童や生徒は原則として週の半分以上を支援学級で授業を受けることを求めているが、親子は「人権侵害にあたる」と主張している。

 申し立ての背景には、4月27日付の文科省通知を受け、枚方市と東大阪市などで支援学級に在籍しながら多くの時間を通常学級で健常児とともに学ぶ児童生徒に対し、「学びの場」の選択を迫る方針が打ち出されたことがある。

(小若理恵)

文部科学省:令和4年4月27日
 特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について(通知)



「発達障害」の子8.8%
 4割は支援受けず  
朝日新聞 2022(令和4)年12月14日 20
 全国の公立小中学校の通常学級に通う児童生徒の8.8%に発達障害の可能性があることが13日、文部科学省の調査でわかった。35人学級であれば1クラスあたり3人程度いることになる。このうち4割は、授業中に丁寧な指導を受けられるようにする配慮・支援を受けていなかった。識者は、専門知識がある教員による個々の児童生徒の特性に応じた支援態勢の強化が必要だと指摘する。
小中の通常学級 教員回答
文字苦手 端末使えばできるのに■教員知識不足も

 調査は10年ごとに行われ今回は今年1~2月に実施。全国の公立小中高校の児童生徒から約8万9千人を抽出し、学習障害(LD)、注意欠如・多動症(ADHD)、高機能自閉症に関する質問が当てはまるかを担任教員らが回答。回答率は84.6%だった。この調査では、医師による発達障害の診断は行われていない。

 調査結果によると、「学習面または行動面で著しい困難を示す」とされた、発達障害の可能性のある小中学生の割合は8.8%(男子12.1%、女子5.4%)だった。今回と前回の調査は一部の質問内容が異なるため単純比較できないが、2012年の前回調査時の6.5%より増えた。今回から調査対象になった高校生は2.2%だった。
 調査事項などを検討した有識者会議の座長を務めた宮崎英憲・全国特別支援教育推進連盟理事長は、小中で割合が増えたことについて「教員や保護者の理解が進み、以前なら見過ごされてきた困難のある子どもに目を向けるようになったことが一つの理由として考えられる」などと解説する。

(桑原紀彦)(編集委員・宮坂麻子)


文部科学省:令和4年12月13日
 通常の学級に在籍する特別な支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について



 障害者権利条約の締約国としての日本の知的障害児者の教育と福祉に関する現状をみたとき、教育とは何か、誰のための、何のための教育かを今改めて考えてみる機会が与えられたのだと思います。
 特別支援教育の対象者が増加傾向にあることなども踏まえ、現行の障害児者に関わる学校教育の在り方についても見直しが必要ではないかと考えます。
 また障害者福祉や障害者の人権という観点から知的障害者の就労支援や地域生活支援などの問題についても考え直してみる必要があるように思います。




日本の障害児(者)の教育と福祉

障害児教育の義務制の意義と課題

権利としての教育と福祉

ノーマライゼーションと教育・福祉

共生社会の形成とインクルーシブ教育

障害者の就労支援を考える

障害者の権利条約と「合理的配慮」について

世界人権宣言と障害者の権利宣言









日本の障害児(者)の教育や福祉をめぐる問題、課題を考察し、今後を展望
田研出版 3190円 A5判 316頁


第1章 日本の障害児教育の始まりと福祉
義務教育の制度と障害児/学校教育と福祉施設/精神薄弱者福祉法(現:知的障害者福祉法)の制定/教育を受ける権利の保障
第2章 戦後の復興から社会福祉基礎構造改革へ
社会福祉法人制度と措置委託制度/社会の変化と社会福祉基礎構造改革/「措置」から「契約」への制度転換と問題点
/社会福祉法人制度改革の意義と課題

第3章 障害者自立支援法から障害者総合支援法へ
障害者自立支援法のねらい/障害者自立支援法をめぐる問題/自立支援法から総合支援法へ/障害者総合支援法施行3年後の見直し 
第4章 教育の意義と福祉の意義
人間的成長発達の特質と教育・福祉/人間的進化と発達の個人差/教育と福祉の関係/「福祉」の意味と人権
第5章 展望所感

 障害(者)観と用語の問題/新たな障害(者)観と国際生活機能分類の意義/障害児教育の義務制の意義と課題/障害者支援をめぐる問題












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